第2弾オンラインセミナー    「野菜・果物を機能性(はたらき)で選ぶ!」が開催されました

2021年6月5日(土)、一般財団法人「日本ヘルスケア協会」と共催で、第2弾オンラインセミナー「野菜・果物を機能性(はたらき)で選ぶ!」(zoomウェビナー)を開催しました。今後の活動について、たくさんの応援のお言葉や質問をいただきました。そうした声を参考にしながら、引き続き、様々な企画やプロジェクトを立ち上げてまいります。今後ともご支援くださいますようお願い申し上げます。

以下より、イベントの様子をオンデマンド配信します。

オンラインセミナー「野菜・果物を機能性(はたらき)で選ぶ」の視聴者の皆さんか多数の質問が寄せられました。その中から代表的な質問に講師陣がお答えします。

Q1. 栄養価を価格に反映して商業ベースにのせるとしますと、作物の個体差や分析値の表示示方法など問題がありそうですが、何か解決できる方策がありますか。

A1. 作物には個体差があります、分析の検体数を多く取る、毎年測定するなど信頼できるデータの集積が必要です。実際の分析値であれば表示できますが、数値を表記しただけでは消費者にその意味が伝わりにくいため、成分のはたらきをPOP表示できたらよいと、「野菜で健康推進部会」で活動しています。分析した成分によっては、その機能(はたらき)の表現方法が「食品表示法」「景品表示法」「健康増進法」に抵触しないこと、の相互理解(表示する側と、取り締まる側)が困難なため、サンドボックス制度に提言し、実証実験をして消費者の意見を聞くことを行っています。

Q2. 野菜や果物をたくさん食べると疾患リスク低減や健康寿命延長に関する疫学エビデンスがあるのは分かりました。一方、抗酸化力(ORACなど)が高い野菜・果物と疾患リスクや健康との関連は分かっているのでしょうか?もし抗酸化力の高い野菜の方が、低い野菜より効果が高いと分かれば、1日の野菜摂取量の基準も変わってくるのではないでしょうか?

A2. 抗酸化力(測定方法はORACにかかわらず)と疾患とのリスクや健康との関係はわかっていません。野菜に含まれる数種の成分が活性酸素を消去することはわかってきました。ORAC法はAAPHというラジカル消去活性を測定しています。(AAPHは人の体の中で発生する活性酸素種ではありません)そのため、人の体の中で発生すると言われている3つの活性酸素①スーパーオキシドラジカル②ヒドロキシルラジカル②一重項酸素を野菜そのものが消去する力をESRで測定してきました。野菜の摂取が体内の活性酸素を消去したかどうかを測定する方法がないため、効果効能を明確に言えません。分析結果は野菜そのものの評価をするための活性酸素消去活性です。

Q3. 抗酸化力のオラック法で得られたデータベースが、アメリカ農水省のホームページから外されたことを、どのようにお考えですか。

A3. ご指摘のように2012年にORAC値のデータベースが米国農務省のホームページから取り下げられるということがあり、日本版オラックの議論にも影響を与えたといわれています。ORAC値の高い抗酸化力の高い食品が、健康効果が高いというエビデンスが無いという批判が影響したともいわれていますが、このことだけをとらえて、抗酸化値の表示自体に疑問を呈するのは、「木を見て森を見ない」議論といえるのではないでしょうか。重要なのは、米国が2012年の時点で、国民の野菜摂取量を向上させるという目標を達成していたということです。野菜摂取量を拡大するという戦略目標を達成することができたから、取り下げたともいえるのです。一方、日本では、何のためのORAC値導入なのかという大前提が曖昧だったために、社会実装もされず、抗酸化ブームは巻き起こりましたが、野菜の消費量も増加しませんでした。

Q4. また野菜の健康効果では、食物繊維が重要な役割を担っていると思います。フィトケミカルよりはるかに含有量が多い食物繊維の方が、健康効果への影響という点では大きい可能性があり、フィトケミカルを強調する売り方は消費者のミスリーディングにつながらないでしょうか?

A4. 食物繊維とフィトケミカルは「はたらき」が違うため、どちらが健康効果への影響があるかと比較できないものです。すべての農産物に食物繊維もフィトケミカルも含まれる=植物にとって必要なもの=人にとっても必要です。今回はお見せしませんでしたが、すでに食物繊維・各種ビタミン・各種ミネラルを多く含む野菜の一覧をイラストで、店頭に出しております。それが浸透した中でフィトケミカルの重要性をこれから知っていただきたいと考えています。フィトケミカルを強調する目的で行っているものではありません。

Q5. 現在の野菜に含まれるミネラル、ビタミン量が、農薬、土壌環境、遺伝子組み換え作物などが原因で減少し、それが生活習慣病等の悪化の繋がるとも言われています。消費者としては、農薬表示についての取り組みも必要であると考えています。これからの農薬表示についての取り組みがあれば教えて頂ければと思います。

A5. 野菜に含まれる成分の低下は栄養成分表との比較からすると、我々が測定してきた野菜にも見られました。(食品成分表の初版と8訂までの間に分析方法も変化しているので一概には言えませんが)農薬表示について、一消費者としては表示してほしいと考えます。しかし使用している農薬の情報を生産者から販売するところまで、正確に伝えて名前を表記しても消費者には殺菌剤か、殺虫剤か、除草剤か等正確に理解される情報とはなりにくいと考えます。使用の有無の表記だけでは正しく理解されなく(0か使用したかで判断されると)問題です。「みどりの食料システム戦略」有機農法を増やすことを目的としています。このことからも誤解されやすい農薬使用表示をするより、有機であることを表記された農産物が増えることがよいと考えます。

Q6. また棚に並んでいる時間によって抗酸化力も落ちてくるのでは・・と思いますがいかがでしょうか。

A6. 一般的には温度湿度管理ができなければ鮮度が落ちる可能性があり、抗酸化力も低下します。

Q7. 最近、野菜は生で食べるより、加熱した方が吸収が良く、癌になりにくいという記事が掲載されていましたが、どのようにおもいますか?

A7. 生か、加熱かの問題ではなく毎食生と加熱した野菜を摂取できると良いと考えます。加熱だけであれば酵素を摂取しにくくなります。

Q8. 店頭POP表示の実証実験は日本ヘルスケア協会指導のもとに行われることに限られますか?

A8. 今回はサンドボックス制度に申請したところがマニュアルを作成し実証実験を行えるという、認証を受けて行っているものです。

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